藤尾住職とのお付き合いは長く、私の坐禅仲間と独園寺で参禅させていただきました。以来、仏事だけにとどまらない、人の心のケアに真摯に向き合い続ける住職の姿を、折に触れて見てきました。
藤尾住職が掲げる理念は、「お寺は人間の本質に立ち戻る場」「静かにつながれる場」。この言葉どおり、独園寺には地域住民をはじめ、外国人、自死遺族、希死念慮を抱える方、難病等で身体が不自由な方など、さまざまな背景を持つ人々が訪れます。
住職はまた、ホスピスや病室にいて物理的にお寺へ来られない方に向け、オンラインで寄り添い、寝たまま参加できる「臥禅(がぜん)」の指導も行っています。毎週土曜日の夜には「サタデーナイト坐禅会」をオンラインで主宰し、世界中の参加者と対話の時間を設けるなど、場所や国境を超えた活動を続けています。
藤尾住職の経歴は、独園寺の長男として生まれ育ったなか、協和銀行(現りそな銀行)に入行し、ニューヨーク、シンガポール、バンコクなど海外で13年間にわたり勤務した元銀行員でもあります。
その経験から客観的なデータや分析の重要性を深く理解しつつも、AIなどのIT技術については「人を傷つける危うさも併せ持つもろ刃の剣」と使い方を危惧されており、命や心に関わる場面では慎重な活用が求められると提唱しています。
また、40年以上続けてこられた太極拳の修練をもと「動禅」を考案し、病中病後や障害のある方でも無理なく心身を整えられるプログラムを提供。保健所のデイケアでは精神疾患のある方への坐禅・動禅指導を長年続け、「自死・自殺に向き合う僧侶の会」の共同代表として自死遺族のプライベート面談や分かち合いの会も運営しています。
横須賀市の自殺対策推進会議の委員も務め、韓国の元大統領補佐官直轄の「自殺対策視察団」を受け入れるなど、その活動は行政・医療・国際社会にまで及びます。
多岐にわたる活動を続ける藤尾住職ですが、今回の資料制作には、私たちが感じてきた問題意識も背景にあります。弊社が横須賀市内の全127ヶ寺を独自に調査したところ、ホームページを持つ寺院は29ヶ寺のみであり、そのなかでも葬儀を受け入れることを伝えているのはわずか11ヶ寺に留まっていました。これでは、檀信徒であっても「住職に葬儀の相談をしてもよいのだろうか」と躊躇してしまう方がいても無理はありません。
葬儀の事前相談は、費用や流れ、戒名のことなど、説明が難しい事項が多く、ただでさえ労働集約の傾向がある住職業において、忙しい藤尾住職お一人で丁寧にお伝えするには限界があります。
そこで、住職の代わりに私たちが広報資料としてまとめることで、檀信徒の方々や地域の方々が安心して相談への一歩を踏み出せるようにしたいと考えました。
藤尾住職が昔から変わらず示してきたのは、「人に寄り添うこと」を惜しまない姿勢です。その姿勢は、葬儀という人生の大切な場面においても、きっと同じはずです。葬儀のことは、遠慮なく菩提寺の住職に相談してみてください。