その翌月、父の妹である叔母が亡くなりました。叔母は浄土真宗の門徒でありますが、一般家庭に嫁いだため、家族は仏事に詳しくありません。
そのなか、叔母は毎朝ひとりで読経し、自分で過去帳を作って祖父母や私の両親などの命日をお勤めしてくれていたそうです。自身の葬儀を生前から準備していたため、遺族である従兄弟は落ち着いて見送ることができたようです。
しかし、叔母のように仏教に帰依して終活を整えられる方は多くありません。
嫁ぎ先が仏教と縁の薄い家庭であれば、なおさら仏事の習慣や意味合いがわかりにくく、住職に葬儀の相談をする必要性すら実感しにくいのが現状です。
これまでの取材経験から、現代の伝統仏教には「あらゆる事情で来寺できない人や非檀家とのコミュニケーションが弱点である」と実感しています。「葬儀で子どもに負担をかけたくない」「嫁ぎ先の墓に入りたくない」といった声は、終活の相談相手がいないことから生まれる課題です。
親族で集まる機会が減るなか、親が高齢になり子どもが成人した私たち同世代にとって、これからの先祖供養を自分に合う形でするためにはどうすればよいのか。その課題に「何かあったら、この住職に相談しよう」という存在は必要になってきます。
お寺の役割は布教だけではなく「相談相手になる」ことが重要です。しかし、必要となるタイミングで寺院から発信する情報に辿り着けない人は確実にいます。
今期、これまで構想していたB2C事業を始めます。地域に必ずいてくれる「安心して相談できる相手」を多くの人に知ってもらうため、日々努力していきます。合掌